隣にはスースーと寝息を立てている黒崎さん


黒崎さんの方を向く


今日、私はあの家を捨てる


もう戻っては来ない


そう思うとお母さんとの楽しい日々が頭の中を巡る


気づいたら泣いていた

「どうしたんや?」

黒崎さんが私の涙を拭いながら聞く


「お母さん...の...っ......夢をみて」


「そうか。」


「私...っ......本当にお母さんが大好きだった」


「確かに無くなったものは大きいけど、月海ちゃんのお母さんの記憶や思いは心の中にある。
だから、月海ちゃんのお母さんはきっと心の中で生きとる。
辛い過去やったかもしれへん。
でも、これからの未来はきっと明るい。

辛い思いした分幸せになれる。

それに月海ちゃんの隣には常に俺がいる。
何があっても守るし、俺は月海ちゃんをおいて死んだりしやんよ」



黒崎さんがくれる言葉は私を簡単に救い出してしまう。


「本当にありがとうございます」

いつの間にか涙は止まっていた