「あの…」



高校2年の11月下旬。


暖かい太陽の光が、冷たくなった私の体を気持ち良いくらいに暖めてくれる。



「話、したいんだけど…」



指先が震える。

それが寒いからなのか、緊張しているからなのかは分からないけれど。



「…分かった」



私が放った言葉に対して、何かを察したように答えを返してくれた彼の頬は、心なしかピンク色に染まって見えて。


「向こう、行こうか」


彼はそう言いながら、人気のない方へ指をさす。
まだ2回しか来たことない場所に戸惑い気味の私を、彼はエスコートしてくれて。


彼と同じ制服に身を包んだ学生たちが年に一度の行事を楽しんでいる中で、制服の違う女子たちが浮いて見える。

私もあんな感じなのかな、なんて、そんな事は今はどうでも良くて。


すると、私の1メートル先を行く彼の足がふと止まる。


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