神木の下で会いましょう

「明日は晴れるって」


携帯で天気予報を確認すると、明日は晴天みたい。


「そっか。じゃあ夜は一緒に過ごそうな」

「うん、約束ね」


そう言って小指を差し出すと、春は笑って小指を絡ませてくれた。

少し子供っぽいけど、指切りげんまんをして離れる小指。

お互いに笑ってしまった。

そうしてたわいもない話をしながら歩いていると、少し開けた場所に出る。

自動販売機や椅子とテーブルがあるここには喫煙所もあって、そこには先生の姿がチラホラ。


「あ、春香ちゃん!」


その喫煙所の影から数人のクラスメイトの女の子が私を見て名を呼んだ。


「今ね、探しに行こうと思ってたんだ」

「これからクラスの女子全員でトランプするんだけど一緒にどう?」

「あ、すごろくもあるよ」

「すごろくってなんか古くさっ」

「えー、そんなことないし」


矢継ぎ早に続く会話に一人驚いていると、


「行っておいでよ」


春が優しく背中を押してくれた。


「春は?」

「俺はもう少しここにいるよ。あいつらも呼んでるし」


顎で指す先には春のクラスメイトの姿。


「分かった。またね、おやすみなさい」

「おやすみ」


軽く手を振って春と別れクラスメイトに近づく。


「ごめんね。邪魔しちゃった?」

「ううん、そんなことないよ」


申し訳なさそうに聞く一人に答えると、他の女子が一斉に話し出した。


「はあー、春君ってやっぱりかっこいいよね」

「ねえ、ほんと目の保養になるー」

「春ちゃん本当に付き合ってないの?」

「実は影で付き合ってたりしてるんじゃないのー」


彼女たちの言葉を受け流しながら、エレベーターの中へと入る。