神木の下で会いましょう

食堂はたくさんの生徒で埋め尽くされていた。

すっかり乗り遅れた感満載。

空いてる席なんてないんじゃないだろうかって思うくらいびっしり。

そんな中、トレーを持って歩く昴に続いて歩みを進めていると、急に立ち止まるもんだから危うくぶつかりそうになった。

セ、セーフ。

あと少しでお味噌汁被るところだったよ。


「春香」


一人焦っていると今日一番聞きたかった声が私を呼んだ。


「春!」

「おいで」


ぽんぽんと隣の席を叩く指示に従って春の隣に腰を下ろす。

昴は向かい側に座って、その横にはダルそうに頬杖をつく梗。


「梗、ありがとう」

「別になんにもしてないし。てか、明日はちゃんと勉強教えてよ」


そっぽを向く姿に自然と笑みが溢れた。

春と昴も笑ってる。

もう素直じゃないんだから。


「笑ってないで早く食べなよ。昴君も」

「梗も素直になったら?」

「うるさい」

「だって梗がーー」

「ちょっ、昴君!」


なにやらこそこそと会話をし出した梗と昴。

ガヤガヤと賑わう音で話の内容までは聞こえない。

梗が焦ってるなんて珍しい。