「拗ねるなよ」
隣に座る春がほっぺをツンツンしてくる。
その手を振り払って、体ごと反対側へ向くけど、ほっぺをツンツンするのは止まない。
事もあろうに手は段々下へと下がっていってーー
「ちょ、擽ったいってば」
脇腹をツンツンとし始めたのだ。
しかも両手で。
身を捩って抵抗してみるけれど全く敵わない。
遂に春の手を取って後ろを睨む。
そこには口角を上げる春がいて。
春が悪戯をする時の楽しそうな表情が私の中のイライラを溶かしていった。
「やっとこっち向いた」
「私はまだ怒ってるんですー」
そう言ってまたそっぽを向けば後ろに感じる温もり。
「拗ねるなって」
耳元で囁かれる心地良い声音。
一瞬だけ脈打つ心臓。
いつの間にか掴んでいた手はお腹に回って抱き締められている。
「拗ねてないし」
「拗ねてる」
「拗ねてないってば」
「俺には拗ねてるって分かるの」
ぎゅっと強く抱き締められて、トクンと心臓が跳ねた。
近いしあったかいし、なんだか分からない感情が心を支配していく。
「春のばーか」
小さく呟くと、頭上からクスクスと笑う春の声。
春は私に甘いって昴が言ってたけど、ほんとにそうなのかも。
小学生の頃から怒る度にこうやって抱き締められて、そして私の機嫌は直る。
幼馴染だし、きっと私の事はなんでもお見通しで、でもそれがほんのすこしだけ寂しい。
春はあんまり自分の事を話したがらないから。
もっと春の事も知りたいな。
隣に座る春がほっぺをツンツンしてくる。
その手を振り払って、体ごと反対側へ向くけど、ほっぺをツンツンするのは止まない。
事もあろうに手は段々下へと下がっていってーー
「ちょ、擽ったいってば」
脇腹をツンツンとし始めたのだ。
しかも両手で。
身を捩って抵抗してみるけれど全く敵わない。
遂に春の手を取って後ろを睨む。
そこには口角を上げる春がいて。
春が悪戯をする時の楽しそうな表情が私の中のイライラを溶かしていった。
「やっとこっち向いた」
「私はまだ怒ってるんですー」
そう言ってまたそっぽを向けば後ろに感じる温もり。
「拗ねるなって」
耳元で囁かれる心地良い声音。
一瞬だけ脈打つ心臓。
いつの間にか掴んでいた手はお腹に回って抱き締められている。
「拗ねてないし」
「拗ねてる」
「拗ねてないってば」
「俺には拗ねてるって分かるの」
ぎゅっと強く抱き締められて、トクンと心臓が跳ねた。
近いしあったかいし、なんだか分からない感情が心を支配していく。
「春のばーか」
小さく呟くと、頭上からクスクスと笑う春の声。
春は私に甘いって昴が言ってたけど、ほんとにそうなのかも。
小学生の頃から怒る度にこうやって抱き締められて、そして私の機嫌は直る。
幼馴染だし、きっと私の事はなんでもお見通しで、でもそれがほんのすこしだけ寂しい。
春はあんまり自分の事を話したがらないから。
もっと春の事も知りたいな。
