神木の下で会いましょう

めぐちゃんお手製のケーキはほんのりピンク色のショートケーキ。

ちょこんとのった真っ赤な苺がめぐちゃんの顔とリンクする。


「すごっ。春香の作ったプリンと大違い」


さらっと言われた言葉を私は聞き逃さなかった。

唖然としてその言葉を放った張本人を見つめる。

めぐちゃんと私の作ったプリンが大違いだって?

そんなの当たり前でしょーよ。

ていうか、比べたらめぐちゃんに失礼じゃないか。

いや、そんなことよりも!

なんだよ、というような表情で見てくるダークブラウンの幼馴染。


「ちょっと失礼じゃない?」

「ああ酒井に?」

「そうだけど、てかどういう意味!?」

「ん? なにが?」


コテンと首を傾げる姿は可愛いけどそうじゃなくて!


「私のプリンが何だって?」


苛つきながら言葉をぶつければ、何かを納得したような顔をする春。

ムカつく。


「春香のプリンと違ってちゃんとして綺麗だなって」

「え、春香ってプリン作れるの?」

「一応は作れる。カラメルが混ざってるやつなら」

「それって食べられるの?」

「まあ、食べられないこともない」


私を無視して勝手に進む会話。

視界の端にはオロオロとするめぐちゃんが映る。


「へえ、今度作ってよ」

「俺も食べたい」


ほんとムカつく。


「嫌です」


はっきり言ってそっぽを向く。


「カラメルが混ざってて、食べられるのかを疑われるような物は二度と作りません」


失礼な奴らだ。

どうせ私は芋の煮っころがしとか、お弁当のおかずになる物しか作れませんよ。