神木の下で会いましょう

「すごい!」


背後から聞こえた声に振り返ると、昴とめぐちゃんがいた。

満開の桜を前にめぐちゃんの目がキラキラしている。

可愛いな。

昴はめぐちゃんのこういう所を好きになったのかな。

めぐちゃんを見つめる昴はとても優しい。

絶対に二人には幸せになって貰わなきゃ。


「春」

「うん」


目配せをして二人で笑い合う。

それからレジャーシートをひいて、お弁当を広げて。


「今日ね、お弁当作ってきたんだ!」


昴とめぐちゃんに声を掛ける。


「一緒に食べよ!」


昴の告白大作戦の開始だ。

作戦の内容としては、まず四人で一緒にお弁当を食べて場の空気を温めて、それからめぐちゃんお手製のデザートを食べようってなった時に、お茶を持ってくるフリして昴とめぐちゃんを二人っきりにさせちゃおうって感じ。

我ながら良い作戦だと思う。


「これ全部春香ちゃんの手作り?」

「そうだよ」

「すごい! とても美味しいよ」


可愛らしい顔をふにゃっとして笑うめぐちゃん。

レジャーシートの真ん中に並べられたお弁当は、唐揚げとかおむすび、卵焼きとかありふれた物ばかり。

あと、春の好きなピーマンの肉詰め。

春も昴も無言だけど、何も言わずに食べ続けるから味は大丈夫なんだと思う。