神木の下で会いましょう

「いやー、春ペアはいろいろ手伝ってくれて助かったよ」


満面の笑みで頭をガシガシと撫でられる私と春は文句も言えない。


「お陰で早く終わったからな、少し早いけど昼休みにするぞー!」


近藤先生のその声にげっそりしている生徒が急に輝き出した。

お昼には勝てないよね。


「春ペアお疲れ様。はいこれ」


昴の手には二本のスポーツドリンク。


「二人とも頑張ったからご褒美」


昴は鬼畜だけど優しかった。

冷えたスポーツドリンクは火照った体に染み込む。

まさしく仕事したって感じ。


「桜の木の下でご飯食べない?」


中庭の一角にある桜の木。

丁度入学シーズンだから見頃だ。


「どうかな?」


コテンと首を傾げるめぐちゃんは可愛らしい。

男子から人気があるのも頷ける。


「食べよ。いいよね?」


頷く二人。


「あ、でも僕と春香は遅れる。近藤先生に呼ばれてるんだ」

「分かった。じゃあ神木君と先に行ってるね」

「ああ、すぐ行く」


春とめぐちゃんを見送って、隣の昴を見上げる。

中庭には私と昴の二人きり。