神木の下で会いましょう

「昴君!」


うん、ほらね。

知的な昴とお淑やかなめぐちゃんはお似合いだと思うな。


「酒井、走ると転ぶぞ」

「転ばないよ。そんなドジじゃなーーっ」


言いかけて前のめりに倒れるめぐちゃん。

カールがかかった黒髪が空へ投げ出される。

倒れると思った瞬間、ばふっという音と共に、髪は元の場所へ戻っていった。


「ほら言わんこっちゃない」


呆れたように昴はめぐちゃんを見据える。

ーー私の隣で。


「ごめんね、神木君」

「いや、怪我がなくてなにより」


倒れかけためぐちゃんを抱き留めたのは春。


「なんで昴が助けないの?」


普通さ、目の前で転びそうになってる子みたら駆け寄るもんじゃないの?

ましてや自分に好感持ってる子なら尚更。


「僕が助けに行ったところで間に合わなかった。近くにいた春だから助けられたんだよ」


平然と言ってのける昴に私は少し不安になった。

そうかもしれないけどさ、やっぱり好きな人に助けられた方が嬉しいんじゃないかな。

何処と無くめぐちゃんも寂しそうだし。

昴って乙女心分かってないよね、きっと。

この二人の恋は難しそうだ。