神木の下で会いましょう

穏やかな雰囲気だったけど、


「春ペア、イチャつかないで」


眼鏡をくいっとあげる昴の登場で終了を告げる。


「……昴も抱きついて欲しいの?」

「は?」


ポカンと口を開けて固まる昴の姿に春と一緒に笑う。

面白いから写真撮っちゃお。

春から離れ、未だ固まる昴を携帯で2、3枚パシャり。


「送って」


春にメールを送ってまた笑う。

普段真面目な人のアホ面ってかなり面白い。


「昴、かなり面白い顔になってる」


まだポカンとしている昴に思いっきり抱きつく。

その行動でようやく覚醒したらしい。


「ちょっと離れてよ!」

「やだー。昴面白いもん」


必死に私を剥がそうとする昴と意地でも離れない私。

少しは疲れが吹き飛んでくれればいいな。


「春香、先生来たよ」


春の声で昴から離れ、何事もなかったかのように列に並ぶ。

私と春は同じか行で同じ順番だからクラスごとに並んでも隣同士。


「ほら昴、あ行は先頭だよ」


茶化すように言って背中を押す。

「覚えてろよ」


睨みながら低い声音で怖いセリフを残していった昴。