神木の下で会いましょう

「点呼とってくるからここにいて」


生徒会長兼学級委員長は大変らしい。

中庭に着いたと思ったらすぐに行ってしまった。

頑張り過ぎて倒れなきゃいいけど。


「春香」


名前を呼ばれて振り返ると、半袖長ズボンの春がいた。

私が長袖取っちゃったから寒いよね。

季節は春だけど半袖なんて数人しかいないし。


「ごめんね。寒いでしょ」

「平気。ジャージ忘れたの俺の所為だろうし」


そう言ってぶるっと震える春は完全に強がってる。

春は寒がりだもん。


「ごめんね」

「いいの。俺が貸したくて貸したんだから大人しく着てろ」


頭をポンポン叩いて言うもんだから、私も大人しく言うことを聞くことにする。

でも風邪引かれたら嫌だな。

そっと春の腕に触れれば冷たい。


「どうした?」


少しでも温まるように後ろから抱き締める。


「春香?」

「……冷たい」


お腹に回していた腕を春が掴む。


「春香はあったかい」


春の手は温かかった。