『ハル』 学校をさぼった日、グラウンドを走り抜けながら、カイが私の手を引っ張って前を走っていく。 笑いながら、疲れなんて一切感じなくて、楽しくて仕方なかったあの時を思い出す。 ぐいぐい腕を引っ張るカイは楽しそうで、あんなに楽しそうに笑うカイを私は初めて見た。 走った疲れじゃなくて、笑いすぎて疲れたような、心地よい疲れが体に残っていた。