冷たい彼の情愛。

 
。○°.。○



「いいなぁ……」

「え、何」

「稲葉くんと花丘さん!」

「あー」


ふたりの目に映るのは、仲睦まじく会話を交わすカップルの姿。

普段は大人っぽくて講義やバスケサークルでは頭のキレる彼が彼女の前ではまるで子犬のように表情を緩めるギャップがたまらないと、最近では学内で有名になっている。

変にイチャイチャしないところも好感を持たれているが、それは彼女の意向で、彼の方は彼女に近付きたくて必死に我慢しているという噂もある。

ふたりが付き合っていることが公になってしばらくは周りはざわざわしていたけれど、ふたりの関係性や初々しい様子が露になっていくにつれて、今では、かわいいカップルだとみんなあたたかい目で見守る姿勢だ。


「あたしもあんな恋したーい!」

「……ふーん」

「したくない!? あ、っていうか、恋愛は興味ないって前言ってたよね。それならふたりのことも興味もないか~」

「……まぁ、興味はないな」

「なーんだ。つまんないの!」

「でも」

「でも?」

「恋愛に興味はないけど、お前にはすごく興味あるよ」

「へ?」

「……オレとしてみる?」

「え、あの」

「しよっか。オレと、恋愛。」

「!!」


……そんな会話をする男女が増えたとか増えなかったとか。




Fin.