冷たい彼の情愛。

 
縁から体を離し、縁の顔を覗き込む。


「話してくれてありがとう。縁の想い、疑ったりしてほんとにごめんね……?」

「ううん。俺こそ、ごめん。……嫌にならなかった?」

「ならないよ。……もっと好きになった」

「ありがとう、咲世」


どちらからともなくそっと唇を合わせて、私たちは顔を綻ばせて笑い合った。


「俺たちのこと、勝手にみんなに言って大丈夫だった?」


不安そうな表情になった縁に私はこくんと頷く。


「うん、大丈夫。ちょっと驚いちゃったけど、嬉しかったよ」

「そっか……良かった。周りに付き合ってることを言ったくらいで、俺の気持ちを信じてもらえるかは不安しかなかったけど、信じてもらうための方法はこれしか思い付かなかったから。結局俺ひとりじゃ咲世を100%守れる自信もなくて、周りを取り込む形になったし……情けなくてごめんな?」

「……ううん、そんなことない」

「ありがと。……咲世の言う通り、元カノとのことは後悔はあるんだ。でも、彼女を守ってあげられなかったことは後悔してるけど、彼女と別れたことに対しては今は後悔してない。俺には咲世だけだから。
もう二度と同じような後悔はしたくないし、守りたいものからは逃げない。咲世から目をそらすことはもうしない。周りに秘密にしてる間、目をそらすのが辛いなって思うことがよくあったんだけど、目をそらされるのはもっと辛いものなんだね。取り残された感じがして、すごく寂しかった」

「縁……」


同じように思っててくれたんだ……。


「でももう寂しい想いもさせない。これからはずっと、俺が咲世を守るから。約束する」

「……」

「俺がこの先苦しむとしたら……咲世が俺のそばからいなくなる時だよ。だから、俺から離れるな。いい? 咲世」

「……うん……っ!」


縁の珍しく強い口調が胸をきゅうっと締め付けて、嬉しさと涙が込み上げてくる。

私は溢れ出る涙を我慢できないまま何度もうんうんと頷いていると、縁は「今日の咲世は泣き虫だね」とくすくすと笑った。