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「……あー、緊張した」
「えっ?」
「丸々1週間も離れてて咲世不足だし、俺もう、電池切れ~。咲世のせいなんだから、ちゃんと責任取って俺の言うこと聞いてもらうよ? こっちに来て」
ちょいちょいと手招きする縁のことを私はきょとんと見てしまう。
「……あの、縁?」
「ほら、咲世チャン。何してんの。早くこっちに来なさい。」
「……ハイ……。」
私にすら有無を言わさない縁の望みに、私はおとなしく縁のそばに移動した。
ちょこんと縁のそばに座ると縁の腕がにょきっと伸びてきて、私の体を包み込む。
両足の間にすっぽりと私を収めた縁は、私の体を心地いい力強さで抱き締めてきた。
私もほっとして縁の胸に体を預け、目を閉じた。
……縁が私たちのことを暴露した後、すぐに講義が始まり、ざわつき始めていたみんなは騒ぐタイミングを完全に逃したようだった。
講義の間はこれまでにないくらいたくさんの視線を感じてしまっていたけど、縁はあっけらかんとしてディスカッションをテキパキと進めて次々に意見を求めていくものだから、グループのみんなはそれどころじゃなかったみたいで。
……もちろん、私も容赦ない縁についていくのに必死だった。
講義が終わると私の元にすぐに飛んできたのは美紗子で、他の子たちをそれこそ排除するようにして、私を講義室から大学の近くにある小さな公園に連れ出した。
「どうして黙ってたの!」と怒られ説明を求められて戸惑っていると、縁がひょっこりやってきて。
美紗子は「いい友達紹介してくれたら、排除に協力するわ」と縁にちゃっかりしたお願いと謎の言葉を伝えた後、「わかった。よろしく」と頷く縁を横目に、うきうきした足取りで去っていった。
どうやら美紗子と真由で、美紗子が私を講義室から連れ出し、真由がそれを縁に伝えるという計画を編み出してくれていたらしい。
……それはきっと、周りの人たちの興味から私を守るための行動。
美紗子たちのやさしさに感動していると、大学で見せる表情を緩めた縁が少し照れた様子で手を差し出してきて、ぽつりと「うちに、帰ろ?」と言ってきたのだった。

