冷たい彼の情愛。

 
……どうやら、縁は「彼女はいない」と周りに言っていたわけではなくて、言葉巧みにうまく誤魔化していたらしい。

それは……私の存在を否定することなく、うまく隠していてくれていたということを示していて……。

大学にいる時も、いつでも縁は私のことをちゃんと彼女として大切に想ってくれてたんだ……。

嬉しくて仕方ないけど……、まだ疑問は残る。

あんなに周りに私たちのことを秘密にしたがっていた縁が、あっさりと恋人宣言したのはどうして……?

しかも、みんなが集まる場所で……。


「そういうことだから、温かく見守ってな? ……あ、あと。男でも女でも、咲世に変に手を出すやつがいたら排除するから。咲世を傷つけるやつも許さない。よーく覚えといて?」


にっこりと笑う縁は、笑顔なのに有無を言わさないオーラを漂わせていて。

牽制。

そんな言葉がぴったりすぎる縁の雰囲気とセリフに、みんなは頷くだけで、口を出す人も茶化す人もひとりもいなかった。

縁ほどの人望や能力のある人間が公言すれば、まず逆らうような人は出ないはずで、もしそんな人がいれば周りがきっと止めるはず。

縁はそれを見越して、敢えてみんなの前でこんなことをしたんだ……。

再びざわざわとし始める中、縁は呆然としている私に向かってふと気が抜けたように笑いかけてくれる。

その笑みの中には一切のトゲはなくて……私の前で見せてくれる大好きな笑顔だった。