「ねぇ、縁くんって彼女いなかったんじゃ……」
「ん? いるよ。……あぁ、確かに大学入ってすぐの頃はいなかったけどね。咲世とは半年くらい前に付き合い始めたから」
「……そっかぁ……そうだったんだ……」
南さんはどこか納得したように息をつく。
「付き合い始めた後は彼女がいるか聞かれることもなかったし、言わなかっただけなんだ。な、咲世」
「!!」
突然名前を呼ばれて、周りの視線が一気に私に集まる。
つい息をのんでしまうけど、縁が「大丈夫だよ」と言ってくれてる気がして、何とか頷く。
「……う、うん……」
「マジかよ、縁~」
「嘘なんてつかないって」
「あ、でも確かに縁って、いつも合コンに誘っても来ないよな。“行かない”の一点張りで」
「当たり前。彼女がいるんだから行くわけない」
「彼女欲しくないか聞いた時の“別に”もそういうこと?」
「あぁ。彼女いるし、別れる気も一切ないし、欲しいとは思わないから」
縁と法学科の人たちとで目まぐるしく繰り広げられる会話に、私の頭はついていってくれない。
みんなというと、頭の回転が私よりもずいぶんと速いらしく、周りのグループにも会話が飛び火していき、講義室中の視線が縁に集まる。
当然、私にも。
でも、私はそれどころじゃなくて……。

