冷たい彼の情愛。

 
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会えないとわかっている日でも、1日に1度は必ず縁と連絡を取るのが普通だった。

「おはよう」でも、「おやすみ」でも。

あの日から、縁からは一度も連絡が来ない。

そして、私からも連絡をしていない。

時間が経てば経つほど、私の押し付けだったのかもしれないという罪悪感が、どんどん大きくなっていっていて。

縁は彼女のことにはちゃんと終止符を打って、今は本当に私のことを一番に想ってくれているかもしれないのに、私はその縁の真っ直ぐな気持ちを疑って、否定してしまったのかもしれない、って。

謝った方がいいのかな……?

でもそうすれば、縁は私に気遣って、自分の心に正直になれないかもしれない……。

でもそうしなければ、縁を傷つけたまま苦しませ続けるかもしれない……。本当に縁は離れていってしまうかもしれない……。

会えない毎日でも、私の頭の中は縁のことでいっぱいだった。



週に一度の法学科との合同講義の時間が、こんなに苦しいと思う日がくるとは思ってもみなかった。

縁と会わなくなってから、今日で1週間。

講義が始まる10分前。斜め前には縁と南さんを含めて数人が楽しそうにおしゃべりをしている光景がある。

もちろん、縁はこれまで通り、私のことを全く気にする様子はない。

いつものことのはずなのに胸がいつもよりも苦しくて、どうにか私はそれを目に映さないように、手持ち無沙汰を誤魔化すように資料をぺらりとめくる。

早く時間が過ぎてほしい。


「花丘さん」

「え? あ、北野(きたの)くん」


隣から名前を呼ばれ、はっと顔を向けると、そこには同じ学科の北野くんが座っていた。

北野くんとはこの講義で同じグループともあって、他の男の子よりは話す回数は多い。