冷たい彼の情愛。

 
「咲世、どうしたの」

「……」


何となく縁と目を合わせるのが怖くて恐る恐る縁の顔を見ると、驚いたように縁は目を丸くして私を見ていた。

……縁は少し前まで元カノと一緒にいたんだよね?

縁は彼女の告白に何て答えたの?

何を話してたの?

今の言葉は本当に心から思ってくれてることなの?

元カノへの想いを抑え込むための言葉じゃないの?

……彼女とまた会うの?

疑問ばかりが頭に浮かぶ。

怖いのに、知りたくて、苦しくて、私はぐちゃぐちゃな頭のまま、縁に言葉をぶつけていた。


「……縁、私のこと、本当に好き?」

「当たり前でしょ? 咲世が好きだよ」


この笑顔が嘘をついているようには思えなくて、私は縁の瞳を見つめながらこくんと頷く。


「……うん」

「珍しいね。咲世がそんな風に聞いてくるの。何か、嬉しい。……じゃあ、咲世は?」

「……」

「あれ? 教えてくれないの?」

「…………縁が、好き」

「……うん」


嬉しそうに頷いた縁は私の頬を手で包み込んで、優しくキスをしてきた。

食むようなキスが心地よくて、私はすがるように縁に抱きつく。

ずっとこのままでいられたらいいのにと思う。

縁は元カノからの告白をちゃんと断ってくれたんだって信じていればいい。