冷たい彼の情愛。

 

「ごめんな? 急に来ちゃって」

「ううん、大丈夫だよ。あ、座ってて? コーヒー淹れるね」

「うん。ありがとう」


玄関を開けて迎えた縁を部屋の中に促し、私はキッチンでコーヒーを淹れ始めた。

……ドアを開けた瞬間見えた縁の雰囲気は、いつもと違っているように感じた。

何がという決定的な理由があるわけじゃない。何となく、気分が落ちてるのかなって。

縁は今日はもう、連絡してこないと思ってた。

縁を信用してないわけじゃないけど、あんな風に元カノに会って告白された後すぐに、私に連絡することはないんじゃないかと思っていたから。

なのに、会いに来てくれるなんて。

……じゃあ、私に会いに来た理由は……?

純粋に私に会いたいと思ってくれたの?

それとも……。

ふと嫌な予想が頭に浮かんでしまいそうになって、私はそれを追い出すようにしてふるふると頭を振った。

縁はいつものように私に会いに来てくれたんだよと言い聞かせ、余計なことを考えないように気持ちを切り替える。

そうして、お揃いのカップに入れたコーヒーを持ち、縁の待つ部屋に向かった。