冷たい彼の情愛。

 



その日以降、何だか書庫の雰囲気が気に入ってしまった私は、時間がある時にはふと書庫に行きたいなと思うようになっていた。

今日は明後日提出のレポートを仕上げるために図書館を訪れていて。

根を詰めすぎるのも良くないよね、という言い訳をして、気晴らしがてら書庫に来ていた。

ここに来るのは今日で4回目。

書庫の雰囲気にもずいぶん慣れてきたと思う。

30分ほどふらふらと本を模索して過ごした後、そろそろ戻ってレポートを完成させようと入り口の方に向かい始める。

本棚を曲がろうとした時、ふわりといい香りがして、真正面から衝撃が私を襲った。

……つまり、初めて書庫を訪れた時と同じような出来事が起きてしまったのだ。


「きゃ、ぶっ!」

「うわっ!?」


どんっという衝撃は私の顔面を見事に襲った。

ぶつかったものには弾力があったとは言え、決して高くない鼻が低くなってしまうんじゃないかと心配になってしまうほどの衝撃で。

その衝撃は相手の人もそうだったらしく、慌てた声が上から降ってきた。


「あっ、すみません! 大丈夫ですかっ?」

「……ふぁ、ふぁい、大丈夫れふ……」


私は涙目になりながら右手で痛む鼻を押さえ、慌てた声の持ち主を見上げた。