冷たい彼の情愛。

 
どうして、ダメなの?

どうして、そんなに冷たいこと言うの?

どうして、元カノは良くて、私はダメなの?

……そんなに、私が彼女だってバレるのが恥ずかしい?


「……やだ、って言ったら……?」

「え?」


絞り出すような私の声に、困ったように笑っていた縁がきょとんとした瞳に変え、私に向ける。

と同時に、縁の手が私から離れた。


「……だって、高校の時の元カノはいつも縁のこと、そばで見てたんだよね? 学校でもいつも一緒にいたんだよね?」

「! 咲世、それ誰に聞いたの」

「……友達が話してるのを聞いて……。あのね、違うの。大学でも一緒にいてほしいとか、秘密が嫌だとかそういうことを言いたいんじゃなくて……。縁が楽しそうにバスケしてるところ、遠くから見ることもダメなの? 私、縁と付き合ってること、勝手に他の人に言ったりなんかしないよ? 不用意に近付くつもりもないし、何度も見に行くつもりもない。バレないようにちゃんと気を付けるから。たまにでいいから、見ていたいだけなの」


自分勝手なワガママだってことはわかってる。

でも、遠くから見つめることくらいは許してほしい。

南さんや他の女の子たちは縁のことを見てるんだから、私もその中に紛れ込むくらいいいじゃない……。