冷たい彼の情愛。

 



学祭から家に帰ってきた私は、ベッドの上に寝転んでぼんやりとしながら過ごしていた。


……縁から電話が掛かってきたのは、部屋に帰ってきてから10分も経たないくらいの頃だった。

これから会おうと言われるのかなと予想したけれど、その予想は外れ、これからサークルの仲間と食べに行くから今日は会えないという内容で。

電話の向こうはガヤガヤと人の声がしていて、気のせいかもしれないけど、南さんの声が聞こえた気がした。

その瞬間、あぁ、南さんも一緒なんだ……、って心が狭いことを思ってしまった。

縁の行動に口を出すつもりなんてない。

束縛なんてものもするつもりはないし、したくもない。

この前お互いのヤキモチの話もしたし、きっと縁も私に嫌な想いをさせないようにとちゃんと考えてくれてるはず。

でもどうしてもざわつく心を静かにさせることができなくて、ちりちりと胸が痛むのを感じながらも、どうにか平静を装って「楽しんできてね」と頷いたのだった。



「はぁ……」


頭の中をくるくる回るのは、今日美紗子から聞いた縁の元カノの話と、南さんのこと。

付き合ってることを内緒にしていることも、元カノのことも、南さんのことも、割りきってるつもりだった。

でもそれは、縁がいつもそばにいてくれたから安心していられただけ。

縁がいないだけで、私はこんなにも弱くて不安な気持ちでいっぱいになってしまう。

……寂しい。

いつの間に私は、こんなに縁に依存するようになってしまっていたんだろう……。

大切な恋を守るためには、真実とちゃんと向き合って心も広くして、強くならなくちゃいけないって、恋愛経験が少ないながらもわかってるつもり。

でも、頭ではわかってても、気持ちがついていかない……。

頭の中にモヤモヤばかりが産み出される中、私はいつの間にかうとうとと眠りに落ちてしまっていた。