冷たい彼の情愛。

 
ピーっと、試合終了を告げるベルが鳴り響き、その場が黄色い声援に包み込まれる。

はっと顔を上げると、縁が嬉しそうな笑顔を浮かべてベンチに向かっている姿が目に入ってきた。

その笑顔は太陽の光を浴びてキラキラしてる。


「さすが縁くん! 圧倒的な勝利ね」

「本当よね」


そんなセリフが耳に入ってきたと思えば、縁と同じ法学科の女の子たちがコートの周りに群がる女の子たちの波をまるで何の障害もないかのようにすり抜け、コートの入り口に向かっていく。

こんな風に縁たちに堂々と近付いていけるのは、同じフィールドに立つ彼女たちだけ。

華麗すぎる後ろ姿を見ながら、こそりと美紗子が溢す。


「……南女史、いたのね」

「稲葉くんの彼女候補のお出ましか~」

「候補じゃなくて、まるでもう彼女だけどね。まぁでも……あのふたりは誰が見てもお似合いよね」

「……」


コートの入り口付近で仲良さそうに話す、縁たちグループと南さんたちグループ。

女の子3人、男の子5人という集まりだけど、もちろん縁と南さんがペアになっている。

誰が見てもお似合い……だよね。

ここにいるみんなが同じ認識だと思う。