うう、“覚えの悪い奴”って、もしかしなくても私のことよね。

「~~とにかく、今回の事は“ケンカ”じゃなくて、お互い一歩も譲れない“主張”よ!」

私は気まずさを誤魔化すように、鼻息荒く言い切った。

「私は石井に一票ね。カレーは豚肉派だわ。」

静香が瀬良君とお菓子を取り合いながら言う。

「私はさーちゃんと一緒でカレーは鶏肉が好きだなあ~。豚肉はちょっとボリュームありすぎて苦手かも~。」

絵梨がニコニコしながら同意してくれて、私も知らず笑みがこぼれた。

「瀬良君は?」

「僕は絵梨ちゃんが作ってくれるなら豚肉でも鶏肉でもどっちでもいいよ。」

「はいはい、瀬良なんて絵梨が絡めばどんなものでもいいんでしょ。一生やってなさい、この天然バカップル。」

静香が呆れ顔で瀬良君からお菓子を取り戻している。

本当、絵梨と瀬良君はいつも仲が良くて羨ましいわ。

私は、はあと溜息をついた。