私は彼の言葉には耳を貸さず、黙々と手を動かす事にした。

それに今日の肉じゃがには隠し味を入れる予定だ。

これで機嫌を治してもらわなければ割に合わないというものだろう。

(そもそも私は、この状況は反対だったんだからね。)

手元の人参を、わざと音を立てて切っていく。

事の始まりは、約半月前にさかのぼるーーー。