私はハアとため息をついた。

「健吾は確かに何でも出来るヤツだけど、完璧な訳じゃないし、腹黒でもない…と思う。」

「それって、“私は何でもわかってます”ってやつ?」

「さーちゃんと石井君、幼馴染なんだもんね~」

二人は高校からの友人だから、小中学生の時の私と健吾を知らない。

「とにかく!一緒に夕飯食べてるだけで特に何かがある訳じゃありません。以上!」

そこまで言うと午後の始業のチャイムが鳴り響き、二人共自分の席に帰っていった。


「ありゃ、本当になんにもないな。」

「石井君、案外ヘタレなんだね~」

静香と絵梨がそんな会話をかわしていたとはつゆ知らず、私は午後の授業の準備に追われるのだった。