万華鏡



中は外よりもピリピリしていた。




「京華!!」


廊下の向こうから走ってきたのは組長の右腕の宗次郎さん。


「ただいま戻りました」


深々と頭を下げる京華に習ってあたしも頭を下げる。




「杏、早く来い」




それには、一切触れずあたしの腕を引いてズカズカと奥へと歩く。



あたしは、黙って宗次郎さんの後を歩く。




「入れ」


連れてこられたのはあの人の部屋の前。



一人で行ってこいと訴える。



ふぅっと息をつき



「杏珠です」



扉を開けた。