────タオルを貸してもらったあの日から、私は春陽のことが好きになってしまった。
次の日、登校した私は、机について頬杖をついた。なんで春陽はタオルを貸してくれたの? ただの優しさかな…それとも……??頭を小さく横に振る。…こんな私を好きだなんてありえない。友達にはよく、「かわいいし、運動神経がいいし、優しいし。」とか言われるけど、正直言ってお世辞でも、可愛いというのは難しい顔だ。そこまで運動神経もいいわけではない。それに、悪いとまで、悪いことはしてないが優しくした覚えもない。だから春陽が私のこと好きだなんて思うはずない。それに、一番のポイントは入学そうそうの出来事だということだ。そこまで知りもしない女子を好きになんてまずありえない。
きっと、春陽は優しいんだな。なおさら好きだな♡って思う。
春陽……何組なんだろう。気になった私は、情報通の親友、秋菜に思わず聞いてしまった。
「秋菜~。春陽っていう人って何組か知ってる??」
秋菜は少し目を見開いて、私に質問を返してきた。
「えっ。恋夏って、春陽が好きなの~?」
「……い…や。……その。」
私が口ごもる時は、たいてい図星のサインだと悟った秋菜。
「はいはい。4組だよ~。……てかなんで?」
「知ってるんだ!4組かー」
私はそのあと、昨日あった出来事を1通り話した。
「へぇ。なるほどね~。……それで好きになっちゃったわけか。」
秋菜は面白そうな顔をしてにやっと笑った後、
「でもさー、春陽ってかっこいいか??」
と言った。秋菜は思ったことをすぐ口に出すから、嘘は必要以外言わない。
「かっこいい……よ?というかそれ以上に優しい……。」
「そっかー。でもさ、私が思うにまだ入学して全然たってないから好意があって、したとかそういうのではないと思うんだよね…」
ちょっと申し訳なさげな声でいう秋菜だか、私はそりゃそうだと思っているのでショックなんて受けない。
「そりゃーそーだよー!私の片想い……。でも、初めて好きな人できたの……だから嬉しくて。」
「え!?そーなの!?小学校の時、言わないだけで、いると思ってた~!…てか、それならダッシュ!!」
ん?と首をかしげると
「えっ?行かないの??」
なにが??と思い口がポカーンと開く。
「もー。春陽のところに行くに決まってるでしょ!」
え?え?えーーー?
そんなの早い早い。そんな、できないよ~
口に出していないのに、秋菜は言う。
「見るだけ見るだけ。みんなやってるよ?それで、好きですアピールしなきゃ。春陽を知るチャンスだし。」
「う……ん」
心臓がドキドキする。
ほっぺたについた、頬杖のあとをパンパンと意味も無くたたいて、秋菜と4組に行った。