恋するBread*それでもキミが好き

いつもより念入りに鏡で自分の顔をチェックする。

化粧とか、ちゃんとしたほうがいいかなって一瞬思ったけど、パンを触るときに必要以上に化粧をするのはやめようと、自分のなかで決めていた。

いつも通り薄いファンデのみでお店に向かった。


「おじさんおばさん、なんか今日常連客の高瀬さんが話したいことがあるって言ってたけど」

「夕方電話もらったわよ、なんか雑誌の……」

おばさんがそう言いかけたとき、お店の自動ドアが開き、高瀬さんがやって来た。


「今日御電話しました、○○出版の高瀬です」

おじさんとおばさんに名刺を渡す姿に、また違う高瀬さんを見た気がした。