Double Cool

 そんなふざけたことを言われて、泣き笑いに笑い出す。




 「…何言ってるのよ、今さっき、ちゃんと名前を呼んだでしょ」

 「良かった。…で?」

 「で?」

 「俺は今でも、お前にとってこの花束に相応しい男なのかな?」




 手に余るほどのたくさんのチューリップの花。


 かつて彼女が修司へと贈った花束の意味を、彼が知っていたことに驚いて目を見開く。


 理想の伴侶。


 サングラスに隠れたその目から流れ落ちる涙に、修司も彼女の答えを悟る。




 「もちろんよ。それ、私にくれるつもりなんでしょ?」

 「ああ」




 にっこり笑って差し出された花束を両手に抱えて、美澄は顔を埋めた。


 美しい人生を贈るための最高のピース。


 理想の伴侶。


 『愛しい、私の伴侶』、『あなたを伴侶にしたい』


 花言葉に、その心を託して。




 「行こうか」

 「…ええ」




 美澄のスーツケースに手をかけ、修司が彼女の肩を抱いて歩き出す。


 未来へと。


 美しい人生へと向かって。




 「おかえり、美澄」

 「ただいま、修司」





~Fin~