憤慨する美澄の背をポンポンと軽く叩いて、それでも抱きしめ直してくれる。




 「いいじゃないか。ふくよかさは幸せの証しさ」

 「…絶対ならないから」

 「そうか?まあ、美澄のスレンダーな今のスタイルも俺は好きだし」

 「…………」 




 つい照れてしまう。


 そんな美澄にニヤリと笑う修司が悪い顔をする。




 「お前っておかしい。大胆かと思えば、こんな言葉一つで照れるんだもんな」

 「いいでしょ?」

 「もちろん。…で、イタリア人は焦らずゆったり生きて、家族や親戚、友人たちを大切にして彼らと賑やかに暮らし、明るく朗らかに生きる。そして、永遠に美しい姿で有り続ける」

 「美しい姿?」 




 醜いとまでは言わないが、イタリア人といえばふくよかな体型の人が思い浮かぶ。


 しかし、やはり修司の行っている‘美しい姿’とはそういう意味ではなかった。




 「ベラ・フィグラ…美しい姿を意味する言葉だけど、容姿だけを意味するわけじゃない」
  
 「じゃあ?」

 「ただ外見だけを美しくすることではなく、人生を楽しみいつも輝いていること」

 「…輝いていること」

 「美しい人生は幸福な人生の同義語なんだ」