身動ぎをして、振り向いた修司の目はぱっくりと開いていて、やはり眠ってはいなかった。


 どこか昏い…昏い眼差しの中に、吸い込まれてしまいそうな錯覚を覚えながらも、美澄は彼から視線を反らすことができずにいた。


 ゴクリと唾を飲み込んで、もう一度彼へと言葉をかけようと口を開く…。


 しかし―――。


 シーツの下から伸びてきた手が、無造作に美澄の手首を掴み、グイッと引き寄せた。




 「あっ……」 




 そのまま巻き込まれるようにして、修司の逞しい体の下へと組み敷かれる。


 彼女の顔を挟みこむように両腕をついた彼の顔は影になって、その表情は見えなかった。


 それでも、彼が苦しんでいるのが感じられた。


 愛されてる。


 そして、愛してる。


 胸を突き上げるような愛しさに手を伸ばし、彼の顔に触れようとして、




 「修……」




 開いた唇に、修司の唇が重なり、彼女の言葉を飲み込んでしまう。




 「……美澄」

 「ぁっ……」




 あとは、互いが互いを呼ぶ声と愛の言葉、そして濡れた音、ただそれだけが暗闇の中でいつまでも、いつまでも立ち続けていた。




*****