「………いや、別に。」


「目、逸らした!しかも、答えるまでに間もあった!さては、相当いい夢だったんだな?」


あっさり見抜いてんじゃねぇよ。


っていうか、単に俺の反応が分かりやす過ぎるだけか…。


「どんな夢?」


「お前には秘密。絶対に教えない。」


“え~っ”と全力で残念がる誠に苦笑した。


あの日の出来事は、誰にも言ってない。


もちろん、誠にも。


“好きな人ができた”なんて、コイツに面と向かって話すのも照れくさいし、何より…俺だけの思い出にしておきたいからだ。


「んじゃ、またの機会に教えて貰うとして、俺…部活あるから行くわ。また明日な、陽希!」


「おう。」


ったく、そこまでして聞きたいのかよ…アイツは。


やれやれ…と思っていると、教室を出ようとしていた誠が俺のところに戻ってきた。