「……面白いヤツ。」


言葉はトゲトゲしいのに、見ず知らずの俺に傘を貸してくれたり、濡れてるのを気にしてくれたり、すげぇ優しいんだな…。


ああいう女子もいるのか……。




“ドクンッ…”




「えっ…」


何だ?


今、心臓が勢いよく跳ね上がった。


胸の奥が熱い…。


彼女から受け取った折りたたみ傘と、ハンカチを見つめながら、だんだんと鼓動が速くなっていくのを感じた。


どうなってんだ、これ…。


なんで、こんなにドキドキしてんだよ…。


初めての感覚に、動揺してしまう。


とにかく、ここに突っ立っていても仕方ないから、忘れた鍵を取りに行って、さっさと家に帰ろう。


早速、水玉模様の可愛らしい傘をさして歩き出す。


ジッと固まってないで、こうして動いていれば、このソワソワと落ち着かない気持ちも薄れるよな…?


きっと……。




━━━━━…‥
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