ダメだ、我慢の限界。


周りに人がたくさん居ようが、関係ない。


俺は、由依を引き寄せて抱きしめた。 


「は、陽希!?」


「少しだけ、このままで居させて。」


「えっ…」


由依は戸惑いの声を零す。


周りの目もあるから離れたいんだろうけど、今は…譲れない。


「あまりにも可愛いから、余裕なくなる。」


今だって、そう。


本能のままに由依を抱きしめたのはいいけど、触れあう素肌と体温に、鼓動がグンと加速していく。


ちょっとでも気を緩めたら、理性の糸が完全に切れてしまいそうだ。


「…………」


大人しく俺の腕の中に居てくれる由依。


しばし抱きしめた後、ゆっくり体を離すと、彼女の顔は真っ赤に染まっていた。


「私だって、余裕なんか全然ないよ…。陽希にドキドキさせられてばかりで、心臓がいくつあっても足りない…。」


由依は恥ずかしそうに俯く。


そんな仕草や言葉にも、たまらなく愛しさを感じてしまう。