「つーか、何も言わずに突然来んな。いい迷惑だ。」


「だって、陽希に前もって許可もらおうとしても、どうせ断るだろ?だったら、アポなし訪問が一番効率的じゃん。」


しれっと言い切る誠にイライラしていると、哲也が俺の手首を指差した。


「あれ?ハル、もしかして腕時計…新調した?」


「あ、ああ…。前の時計…電車の中で、落としちまってさ。」


「そうなんだ。中学の頃からずっと使ってたお気に入りのじゃなかったっけ?」


「でも、いいんだ。この時計…すげぇ気に入ってるから。」


由依が俺にくれた誕生日プレゼント。


正直なところ、前の腕時計よりも好みだったりする。


ずっと大切に使っていくんだ…。


腕時計を眺めていると、誠が“ふーん”と意味深な声で呟いた。



「その腕時計、もしや…伊織ちゃんから誕生日プレゼントで貰った?」


「なっ…」


思わずビクッと肩を上げた俺。


誠に視線を向けると、ニヤリと笑みを零した。