Mission.N

「何だ、呼んだだけか」

社長は呆れたと言う顔をした。

「ようやく夏梅が俺のものに…」

そう言った社長に、
「それとこれとは話が別です」

あたしは否定をした。

「何もはっきりと言う必要はないだろ」

「そろそろ、失礼をしてもよろしいでしょうか?

福山さんも痺れを切らしているころだと思いますので」

そう言ったあたしに、
「ああ、その方がいいかもな。

藍田くん、戻ってもいいぞ」

社長は言い返した。

「はい、失礼しました」

あたしは会釈をすると、社長室を後にした。

バタンと社長室のドアを閉めると、胸にまだ温かいものが残っていることに気づいた。