Mission.N

何だろう、この温かいものは…。

まるで包み込まれているような気分だ。

「ことが解決するまで、君は何もするな。

間違っても犯人を探し出そうと思うな」

社長が念を押すように言った。

「はい、わかりました」

あたしは首を縦に振って返事をした。

それから、
「直孝さん」

あたしは社長の名前を呼んだ。

社長は驚いたと言うように、茶色の瞳を見開いた。

「ビックリしたな…。

急に名前を呼ぶのは反則にも程があるだろ」

社長はやれやれと言うように息を吐いた。

「で、何だ?」

そう聞いてきた社長に、
「何でもありません」

あたしは首を横に振った。