Mission.N

社長があたしの顔を覗き込んできた。

彼は椅子に座っているため、あたしは彼を見下ろすと言う格好になる。

「気が楽になったか？」

上目づかいの状態で、社長があたしに声をかけてきた。

「えっ…」

そう言えば、先ほどまで胸の中で渦巻いていた気持ち悪さがもうなくなっていることに気づいた。

社長は茶色い瞳を細めると、
「怖かったんだろ？

自分がやっていることが他人にバレてしまうんじゃないかって」
と、言った。

「あたしは、その…」

全てを見透かしたようなその言い方に、あたしはどう返せばいいのかわからなかった。

「安心しろ。

俺は君のことを心の底から信用しているから」

「――ッ…」

ストンと、胸の中に温かいものが落ちてきた。