Mission.N

「あの、社長…」

「君じゃないと言うのはわかってる」

あたしの言葉をさえぎるように社長が言った。

「えっ…?」

あたしは耳を疑った。

「何事に置いても君は完璧だ。

君がミスを犯すとは到底思えない」

そう言った社長に、
「はあ…」

あたしはどう答えればいいのかよくわからなかった。

「つまり、君以外にも産業スパイをしていた人間がいると言うことだ。

被害は『小野製作所』だけじゃなく、君の兄貴が勤めている『霧ヶ峰電気』も被っている」

「ええっ…!?」

まさかの事実に、あたしは驚くことしかできなかった。