Mission.N

トイレから秘書課へと戻ると、
「藍田さん、社長がお呼びです」

福山さんに言われたので、
「はい、わかりました」

あたしは社長室へと足を向かわせた。

コンコンとドアをたたくと、
「どうぞ」

中から声が聞こえたので、社長室のドアを開けた。

足を踏み入れると、
「お呼びでしょうか?」

社長のデスクへと歩み寄った。

「もう話は聞いたか?」

そう聞いてきた社長に、
「産業スパイのことでしょうか?

先ほど福山さんから聞きしました」

あたしは答えた。

「じゃあ、俺が話をする必要はないな」

社長は呟くように言った。