Mission.N

正直なことを言うと、あまり生きた心地がしなかった。

秘書課に戻ると、
「すみません、お手洗いの方に行ってきます」

「はい、わかりました」

あたしはすぐに秘書課からトイレの方へと足を向かわせた。

飛び込むように個室へと入ると、
「――ッ、はっ…」

あたしはようやく息を吐いた。

便器のうえに腰を下ろすと、スーツのうえから未だに暴れている心臓に手を当てた。

今のところは、犯人があたしだと言うことはバレてはないみたいだ。

だけど、時間の問題だ。

少なくとも、今週か来週辺り…早くても明日か明後日くらいには足がついてしまうことだろう。

もしかしたら、今日だと言う可能性もある。

「――最悪だ…」

ボソッと、小さな声で毒づくように呟いた。