Mission.N

もしかしたら、あたしの口から犯人――つまり、あたしのことだ――を言わせようと誘導してくるかも知れない。

福山さんがこのことをどこまで知っているかはわからない。

話に細心の注意を払いながら、集中して耳を傾けた。

福山さんは唇を開くと、
「ことが解決するまでの間は細心の注意を払いながら仕事をしてちょうだいね。

情報は厳重に管理をするように」
と、言った。

えっ、もう終わりなの?

てっきり犯人のことを聞かれるのかと思ったけど、
「はい、気をつけます」

あたしは頭を下げた。

「じゃ、仕事に戻りましょうか」

「はい」

あたしと福山さんは椅子から腰をあげると、秘書課へと戻った。

話が終わったと言えば終わったけど、心臓はまだ気持ち悪いくらいに暴れていた。