この間の休みの日、あたしは兄の彼女に会った。

会ったと言っても、兄を含めた3人でお茶をしただけと言った方が正しいかも知れない。

兄の彼女のアキエさんは兄の同僚で、4年前から交際を始めたのだそうだ。

かわいいよりもキレイで、優しそうで、義理の姉としては申し分のない人だ。

料理とお裁縫が趣味だと言っていたから、家庭的な人なんだと思った。

あたしは兄に恥をかかせないように…と言い聞かせながら、その場で“聞き分けがいい妹”を演じた。

“たった1人の身内である兄の幸せを願う献身的な妹”――2人の目には、そんな風に映ったかも知れない。

いや、2人の目にあたしがそんな風に映っていることを祈るばかりである。

あたしの心の中で渦巻いている気持ち悪い感情を、2人には気づいて欲しくない。

その日の夜は兄が寝静まったことを見計らってトイレの中に入ると、声を押し殺して涙を流した。