「藍田さん、今日もクールね」

「美人なのに誰も寄せつけないって言う感じだよね」

また社員たちからヒソヒソと声があがった。

あたしはどうやら、美人と言うタイプの部類に入るらしい。

まあ、人が“言っている”だけだから自分ではよくわからないんだけど。

「でも仕事ができるって言うだけでもいいんじゃない。

藍田さんが社長の秘書を務めるまでは本当に大変だったらしいから」

「さすが、鉄の女王ね」

あたしはその声を無視すると、社長と一緒に社長専用のエレベーターに乗った。

エレベーターのドアが閉まると、この空間はあたしと社長の2人だけになる。

「藍田くん、今日の予定はどうなってる?」

社長が声をかけてきたので、あたしは手に持っていた手帳を広げた。