「――か、考えさせてくれませんか…?」

そう言ったあたしの声は震えていた。

「明日までに、ちゃんと考えます…」

震えた声で言ったあたしに、
「考える…か。

まあ、いいだろ」

社長は不敵に笑うと、また人差し指であたしのあごに手をかけるとあげさせた。

「藍田くんの性格を考えたら逃げることはないと思うけど、逃げた場合はどうなるかわかってるよな?」

テナーボイスにあたしの背筋がゾッと震えた。

「――は、はい…」

震える声で返事をしたあたしに、社長は満足そうに笑った後で指を離した。

「じゃ、また明日」

社長はそう言った後、あたしから離れた。

バタン…とドアが閉まった音が社長室に大きく響いた。