「…自己紹介をしてください」
疑いの眼差しで綾人を見ると、
めんどくせ~とでも言うようにポケットに手を突っ込んで自己紹介を始めた。
「橘綾人、今日から高校生になります。
優羽とは幼馴染みでー、好きな食べ物はオムライス、嫌いな食べ物はトマトです。」
だるそうな口調だけど…当ってる。
「…誕生日は?」
「9月10日」
うっ。それも当たってる。
「…私の好きな食べ物」
これは難しい質問でしょ。
本当の綾人知らないんだからね!
「メロンパン」
即答された。
ううっ。当たってる。いや、合ってるよ。
やっぱり綾人なんだ。
どんどん私の顔が戸惑いと動揺で難しい顔になっていくのが自分でも分かった。
「なんでそんな疑ってんだよ」
「っ」
ぐいっと顔を近づけられ、見元で囁かれた。
近い顔と低い声に不覚にもドキッとしてしまう。
「なんでって…。」
顔近いし、ばか。