【短】友達から始めましょう



和希はバスケ部員で
前から美雪先輩の話をよくしていた。

和希はあほだけど
顔はまあまあ良い方だと思う。


ちょっと前に、美雪先輩と和希が
話しているのを見た。
別に美雪先輩は和希のことを
疎ましく思っているという様子は
感じられなかった。むしろ・・
すごく楽しそうに見えた。


てか−・・あたし、さっそく失恋ですか。


和希はあたしのこと女として見てないって
気付いてたけど改めて好きな人の口から
好きな人の名前を聞いて、
告白するって事実を聞くのは辛いかも。


「茜、お前も告白しろ」

「は?」

人が感傷的な気分に陥ってるとき、
あほ男が意味のわからない発言をする。

ものすごく、唐突に。

「何であたしが−・・。

てか告っても返事わかりきってるから
気持ち伝える意味なんてないし」


あたしはそう呟いて
和希から視線をはずす。

自分で言ってて悲しくなった。


「・・茜、お前はたいして良い女じゃない」


−・・は?何言ってんの、こいつ。
てか軽く失礼だろ。

あたしが反論しようとしたときに
和希は言葉をつけたしていく。


「でもすげーいい奴だ。
茜が誰を好きなのか知らねーけど
そいつも絶対、茜の良さに
気付いてるはずだからよっ!
頑張ってみたら?
気持ち伝えるとすっきりするぞ?多分」

そう言って和希はにかっと笑った。
あたしは不思議な気持ちになった。

嬉しいような切ないような、
よくわからない不思議な気持ち。


でも1つだけわかるのは、
やっぱあたしは和希が好きなんだなって
この胸の痛みが教えてくれてるってこと。