次の日は休日。

8時半に目が覚め、スマホを取り出し、連絡先を探した。


[青柳颯太]


その名前を見つけ、電話をかけた。

2回目のコールで、｢もしもし｣と声が聞こえる。
少し低いその声は、決して不機嫌でないことを、私はもう知っていた。


｢もしもし｣

｢どうした、遊佐｣

｢話したいことがあるの。会えないかな｣

｢突然なんだよ。別に良いけど｣

｢じゃあ、9時半に駅前のcloverっていうカフェに来てほしいんだけど、いい？｣

｢分かった｣


事務的なようにも感じる淡々とした会話。

電話をかけるのも、休日に会うのも初めてだった。
でもそれは、デートとかそんなドラマチックなものじゃなくて、真実を知りたいがためのこと。

坂瀬くんが伝えてほしいと言った言葉を伝えるため。
坂瀬くんのことについて、もっと詳しく知るため。

私は、準備のために立ち上がった。

服装には少し気を遣って、髪の寝癖を直して、鞄の中に財布とスマホだけを入れて、家を飛び出した。

時間はたくさんあるのに、急かされる。

早く知りたい。
それだけじゃなく、青柳颯太に会いたい。

きっとその会いたい気持ちは、本当に、大切な友達として。

だから早く、早く。

私は速度を緩めず、駅までの道を走った。